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マットな質感と自然な風合いが魅力のセメントタイル工場見学@ハノイ

先日、友人のNさんに誘われてハノイ近郊にあるセメントタイル工場の見学に行って来ました!
皆さんは、セメントタイルってご存知でしょうか?筆者は工場見学に行くまで全く知りませんでした!

セメントタイルとは?

セメントタイルは、その名の通りセメントを使って作られます。皆さんがお風呂場などでよく目にするツルツルとしたエナメル状の陶製のタイルと違い表面に光沢がなくマットな質感が特徴です。また陶製のタイルとの一番の違いは、セメントタイルは焼かずに作られます。
筆者は、焼かずにタイルを作ると聞いた時、頭にはてなマークが5つくらい並びました!(※作り方は後述致します。)
焼かないとなると強度が心配になりますが、なんと400年も持つそうです。セメントタイルは削られてもデザインが残る為、年を重ねるごとに少しずつ色もなじみ、より自然な風合いに変化していくのも魅力なんだそうです。
セメントタイルの歴史は古く、1850年代にフランス・アルデッシュ地方にあるヴィヴィエという町で生まれたそうで、フランスの植民地であったベトナムにもこのセメントタイルを使用した建物が、現在も多数残っています。
セメントタイルのもう1つの魅力は、豊富な色味とデザインパターンです。鮮やかな色彩は、カラーセメントの組み合わせの数だけ存在し、銅型によって生み出される美しい模様はアイディアの数だけ存在します。
ヨーロッパのクラシカルなデザイン、近代的でスタイリッシュなデザイン、アジアンスタイルなど、様々なデザインのタイルを作る事が可能です。
しかしながら、セメントタイルは大量生産できる陶製のタイルとは違い1つ1つが手作業で、タイル職人さんが作れるタイルの数は1日に100枚ほど。手間暇と人件費がかかる為、ヨーロッパではもう作られておらず歴史的な建造物に残る古い技法として扱われてきました。しかし、実はベトナムを始めとする元植民地の国々では今も細々と受け継がれており、その事を知った今回ご紹介する工場のオーナーMizooさんが、タイル職人さん達を集めて工場を立ち上げ、現在ヨーロッパやアメリカなどに輸出をしているそうです。既に制作されていないと思われていたセメントタイルが現在も制作されていると知ったヨーロッパやアメリカの人達に大絶賛されているそうです。
今回、このセメントタイルの存在を日本人の方にも多く知ってもらいたい!というオーナーの想いを受けて記事を書かせて頂く事となりました!有難いです!!

eurekaセメントタイル工場

こちらが、工場です!ハノイの近郊、それも路地をちょっと入ったところにあるなかなか渋い立地です。Nさんがかなり喜んでおりました。

工場内

まず最初に案内して頂いたのは、セメントタイルの要、銅型のメンテナンスを行う作業場。
色々なデザインの銅型が吊るされています。
日本食の板前さんが包丁を研ぐように、銅型も日々のメンテナンスが大切で、少しでも歪んだり曲がってしまったりするとタイルのデザインに大きく影響してしまう為、1つ1つ丁寧にメンテナンスしていきます。
・・・と言っても筆者はこの時点ではまだまだ「銅型?セメントタイルの要??」と頭の上にはてなマークが並んでおりました。

配合によって様々な色を作り出すカラーセメント

続いてご案内して頂いたのは、カラーセメントを配合する作業場です。8種類のカラーセメントを使用する事によって色彩豊かなセメントタイルを作る事が出来そうです。
ノートに配合の分量が記されています。
写真右側の機械で混ぜ合わせます。ちなみにこの時点でもまだ筆者はセメントタイルの制作工程があまりわかっておらず、相変わらず頭の上に複数のはてなマークが出ておりました。

セメントタイル作り

そして、遂にセメントタイルを実際に制作する作業場にやってきました!1つ1つ手作業で作られていきます。

四角形だけではなく、六角形などセメントタイルも作られています。
銅型を使ったデザインの他に手描きのデザインのタイルも作られています。

さて、写真だと凄さが半減してしまいそうだったので動画を作成してみました!是非ご覧ください。
完成したセメントタイルは1~2週間ほど乾燥室で乾燥させます。湿気が多いハノイでは欠かせない作業です。

乾燥室の床が可愛かったです!!
乾燥後撥水用の水性シンナーを塗ったタイルを検品・梱包していきます。欠けているタイルなどは、モザイクとして利用するそうです。
※モザイクとは、大理石やガラス・陶など小さな断片を使用して建築の壁面や床を装飾する美術技法や、この技法で制作された作品の事を言います。
1枚でも十分綺麗ですが、並べるとまた違った華やかさが出て来て素敵ですよね!
筆者は、すっかりセメントタイルの虜となりました。写真を撮りまくっている筆者をNさんが撮影してくれました!(笑)
1箱13枚入り、白い箱はベトナム国内用。箱にデザインされたものは輸出用なんだそうです。日本にも輸出しているそうですよ!
1パレット60ケースで輸出しているそうです。60ケースで30平米分あるそうです。

セメントタイル作り体験

なんと今回特別にタイル作りを体験させて頂きました!!!ヤッター!!
筆者、突然の事に緊張しています。職人さんに教えてもらいながら、カラーセメントを流し込んでいきます。結構細かいデザインで、指示して頂かないと何処に入れたら良いのか全く分かりません!恐る恐る・・・。ひたすら職人さんの指さす場所に流し込んでいきます。最終的に職人さんも手伝ってくれました!カラーセメントを入れ終わったら銅型を外していきます。使った銅型は水で洗って置いておきます。続いて、ベースセメントを振りかけていきます。12mm程入れ終わったら、一度手でならしていきます。
最後に湿ったセメントをかけていきます。職人さんにならしていただいて・・・プレスするための蓋を被せるのですが、これがまた重い!職人さんはひょいっとやっていたので、こんなに重いとは思いませんでした!よっこいしょ!!そしてそれをプレス機まで押すのがまた大変!!うりゃーーー!!!(笑)職人さんの指示に従いプレスしていきます。なんだか筆者の顔まで職人さんの様な渋さが出てきました!?プレスが終わったら取り出します。プレスしたとは言え、まだまだ柔らかいセメントタイルを取り外すのはなかなか大変です。失敗すると割れてしまいます。丁寧に、丁寧に・・・取れた!!!オォォォォォォー!!!!なんという事でしょう!筆者にもセメントタイルを作る事が出来ました!それもこれも全ては、職人さんのおかげです!
Xin cảm ơn!(ありがとうございます。)出来たセメントタイルを職人さんにお渡しして・・・筆者なんとも満足気です。
満面の笑み。我ながら楽しかった事がよく伝わってきます。

セメントタイルのデザインにうっとり

工場見学の最後にセメントタイルが飾られている展示スペースを見せて頂きました。素敵なデザインのタイルに魅了されます。
うっとりヨーロッパのクラシカルなデザインのもの、近代的でスタイリッシュなデザインのもの色々あります。輸出する地域によって好まれるデザインが全く違うそうです。こちらの6角形のタイルは、マットだからこそモダンで味がありますよね。セメントタイルの柔らかな色味とマットさにすっかり気持ちを持っていかれてしまいました。 タイルは、飾られているデザインの他にオリジナルのデザインや、既存のデザインの色を変えたものもオーダー出来るそうです。この世にたった1軒だけのオリジナルタイルを使ったお店を作る!なんて事も出来ちゃいます!!

あー、夢は広がりますねー!!!興味がある方は、下記連絡先までお問い合わせください。

eureka(Kazuya Mizooさん)
電話番号:+84 1299 469 502
メールアドレス:mizookazuya@gmail.com
工場:Hoa Lac Industrial zone, Hanoi City, Vietnam
Homepage:http://eurekatile.com/

おまけ

Nさんが撮ってくれた筆者。なんだか構図がとってもお気に入りです。

Halca
Mizooさん、今回誘ってくれたNさん、とっても良い体験が出来ました!ありがとうございます!!
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しております。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性があります。予めご了承ください。

最終更新日:2017年03月23日

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