皆さんは、ハノイで水上生活を行っている人がいると聞いてどんな事を思い浮かべるでしょうか?多くの人は、ベトナムの世界遺産「ハロン湾」で暮らす水上生活者をイメージするかもしれませんね。観光名所ともなっているハロン湾の水上生活者、その始まりは、海まで出掛けるのが面倒になった漁師がそのまま住みついたと言われています。
しかし、今回ご紹介する水上生活者の方々は、それとは事情が異なります。土地に住むための土地代が払えず仕方なく川の上、ふねで生活をしている人々なのです。それもハノイのシンボルと言われているロンビエン橋の下にです。
そんな貧困が原因で、土地に住むことが出来ない水上生活者の助けになりたいと支援をしている一人の日本人大学生がいます。それが今回ご紹介する「望月みちる」さんです。
支援プロジェクトを自ら行う大学生・望月みちるさん
プロジェクトの商品を自ら手売りしていました。
経済学を学ぶ大学4年生のみちるさん。現在は、日本に住んでいて半年に一度ハノイに来ています。
ハノイに来る理由は、学業の傍ら、ハノイで水上生活者の支援を行っている為です。プロジェクトの名前は「Happy Souvenir Project」。水上生活者の中に、とても編み物が得意な女性がいて、「副業を作ってあげたい!」という思いから、デザイン提案から材料調達の方法、販売まで全てをサポートしています。
みちるさんがハノイに来たキッカケ
みちるさんが、初めてハノイに来たきっかけは、経済を学ぶ為の5ヶ月間の短期留学でした。しかし、その時は水上生活者の支援活動はしていませんでした。転機が訪れたのは、日本帰国後に興味を持ち参加した支援プログラムです。そのプログラムをきっかけに2度目のハノイ生活を行う事となり、そこで舟の上で生活する人の存在を知りました。
みちるさんが支援プログラムに参加して気付いた事は、参加者が毎回変わってしまう為、プロジェクトが毎回一からとなってしまう事(参加者のハノイ滞在期間が短いため、次の参加者へと引き継ぐかたちとなっている)。その為、同じ様な質問を毎回聞かれることになってしまう水上生活者の方たちの戸惑いを身近で感じ、「とにかく長く携わる事が大切!」と考えたみちるさんは、支援を継続する事を決意しました。
「Happy Souvenir Project」
支援プログラムを通して知り合った水上生活者の1人であるアインさんという女性が、編み物が得意で、やる気もあった為、みちるさんは一緒にプロジェクトを行う事にしました。
「お金をあげることは簡単だけど、自力でお金を稼げるルートを作ってあげたい」と話してくれたみちるさん。
日本の支援プログラムは、日本から材料を持参して、ハノイでグッズを作ってもらって、出来た物を日本で売ってという流れだったので、それでは材料を手に入れるルートも売るルートも生活者の間には残りません。
そうではなく、現地で材料を調達して、現地で売れる仕組みを作りたいと考えたみちるさんは、亀のキーホルダーとストラップを商品化する事を決めました。亀を選んだ理由は、ハノイに亀が守り神という伝説(ハノイ旧市街にある、ホアンキエム湖の亀伝説)があるためです。
色とりどりで可愛らしく全てハンドメイドの為、一つひとつ表情が違うのも魅力。
水上生活者アインさんのお宅を訪ねる
筆者は、前々から「ロンビエン橋の下に水上生活者の方々が住んでいるらしい」という話は聞いており興味を持ってはいたのですが、何のとっかかりもなく、今まで訪れる事はありませんでした。しかし、今回みちるさんと出逢ったのをキッカケにみちるさんにお願いして、水上生活者さんのお宅を訪ねさせてもらえる事となりました。
みちるさんに確認したところ、わかりやすくロンビエン橋の下と表していますが、実際は少し歩いたところに住んでいるのだそうです。
ちなみに写真左側がみちるさん、右側がTrang(チャン) さん。みちるさんと同時期にNGO団体に参加し、水上生活者の支援を行っていたのだそうです。みちるさんと年齢が1つしか違わず、みちるさんが水上生活者の家を訪れる際には無償で通訳として付いてきてくれるのだそうです。
男の子が嬉しそうに手に持っているものは、どうやら今後お目見えする新作(?)の様です。
短いひと時でしたが、アインさんのお宅で楽しい時間を過ごすことが出来ました。写真にはあまり写っていませんが、家族や親戚みんなが集まってワイワイと楽しくご飯を食べ、その後はみんなでお話ししてという当たり前の様で、日本ではあまり見なくなった温かい家族の形がありました。
みちるさんとは別に貧困層の支援活動をしている知り合いがおり、その方から「住み込みでの仕事を与えても家に帰ってしまう。」という話を聞いた事があり、その時は「せっかく今までの生活より良い給料と家が与えられているのになんでなんだろう?」と思っていたのですが、家族みんなで助け合いながら生活をしている彼らを見ていると住み込みで仕事をするのは相当寂しいだろうなと思いましたし、その住み込みの仕事で出会う人達と自分達にギャップがあり過ぎて、「アルプスの少女ハイジ」がクララの家に来て山を思い出してホームシックになる、みたいな気持ちなのかもしれないなぁと思いました。お金を与えるとか仕事を与えるとか、そういう簡単な話ではないのかもしれないなと思いました。
みちるさんにもそこについて話を聞いてみました。
誰がどこに生まれても明日を見ることのできる世界をつくる。
みちるさんに話を聞くと下記のお返事を頂きました。
直ぐに変えることは難しいかもしれないけど、アインさんの子供の世代からでも少しずつ意識が変わったら嬉しい。まずは、アインさんをモデルケースとして、他の人にも頑張ってほしいです。そしていつかアインさんが地上で暮らすのを見るのが目標です。その為にも今後も!学校を卒業しても!定期的にハノイを訪れて支援をしていきたいです!
私の夢は、「誰がどこに生まれても明日を見ることのできる世界をつくる。」こと。私は私に関わってくださる全ての人に笑顔でいてほしい。幸せでいてほしい。そのためならなんでもしたい!!全世界の人の笑顔を守ってみせます!!(夢はおっきく!笑)
いかがでしたでしょうか?
今回の記事を読んで、亀のキーホルダー&コースターに興味を持ち購入したい!と思われた方は、是非下記のお店にご来店ください。
亀のキーホルダー&コースター取り扱い店舗一覧
- 安南パーラー / an nam parlour(カフェ・土産物店)
- Hair salon te to te.(美容室)
- 東屋ダイニング – Azumaya Dining(レストラン)
- DaiGo(レストラン)
- キーホルダー 80,000VND(≒387円2017年10月現在)
- コースター 50,000VND(≒242円2017年10月現在)
みちるさんは、手数料など一切受け取っておらず、売り上げは全てアインさんの手元に届きます。ハノイのお土産としていかがでしょうか??
活動を支援したい方、商品を取り扱いたい方へ
みちるさんの活動に興味を持ち協力したい方、支援したい方、お店で商品を取り扱いたい方は、是非下記チラシ内のメールアドレスにご連絡下さい。
最後になりましたが、みちるさん、今回は少ないハノイ滞在期間中に取材にお付き合い頂きありがとうございました!