今回は、当サイトのイラストも担当してくれている『衣』さんの旦那さんで、日本語教師の『ヅーさん(ニックネーム。日本人です)』のインタビューをお届けします。
日本語教師になってみて
ヅーさんは、ハノイで初めて日本語教師の仕事を始めたとの事ですが、ハノイに来た当初はどんな感じでしたか?
とにかくわからない事だらけで、毎日があっという間でした。本当は、終わった授業の反省をしないといけなかったのですが、次の日の授業の準備に追われ、半年間くらいは毎日をこなすのに精一杯でした。
ヅーさんは、もともと日本では全く違うお仕事をされていたとお伺いしましたが、日本語教師になってみてどうですか?
日本語教師は、とにかく大変な事が多いですが、やりがいを見つけやすい仕事ですね。また、今までにない楽しさがあります。
日本語教師の仕事は、日本語を必要としている国であれば、その国の母国語が話せなくても、何処でも働ける仕事なので、海外に出て働いてみたい人にはお勧めの職業です。
これから日本語教師を目指して海外に出ようとしている人たちにアドバイスがあればお願いします。
年に一度日本で行われている『日本語教育能力検定試験』を受けて合格しておくこととお薦めします。私も、ハノイに来る前に同試験の勉強をし、合格しています。日本語教師として働き出したらとにかく時間が無いので、仕事を始める前に先に資格を取っておいた方が良いです。同資格は、正直無くても日本語教師として働けますが、持っていると就職に有利だったり、給料が増えたりするので、取っておいて絶対損する事は無い資格です。
日本語教師をしていて
日本語教師になってから身に付いた能力はありますか?
2つあります。1つは、人の名前と顔が1回会えば覚えられるようになりました。
もう1つは、自分がわからない国の言語を話している相手でも、なんとなく理解できる状況判断能力が身に付いてきました。
日本語教師をしていて大変な事はなんですか?
日本語教師の仕事は、授業だけではなく、『教案*』の準備、テストの丸つけ、宿題のチェックなどがあり、休みの日でもうかうかしていられず、時間を作りにくいので、それが大変です。ただ、苦労して準備した教材や、教案が上手くいくとやりがいを感じます。
あと、ハノイの場合ですとベトナム人の先生との連携が大変でした。日本だと当たり前の事、例えば「ホーレンソウ」などが当たり前では無いので、仕事の連携が大変でした。
教案
学習指導案または単に指導案ともいう。教師が授業についてあらかじめその進め方を検討,立案するもので,普通,授業の目的,方法,強調点,時間配分,板書の概要,宿題の設問などが中心とされる。
出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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日本語教師をしていて嬉しかった事はなんですか?
生徒が私が教えた事を使って、話しにきてくれると嬉しいですね。成長が目に見えて感じられます。教える事で、結果がついてくるのは本当にうれしい事です。
あと、つい最近の出来事なんですが、私は今バンコクで日本語教師をしていて、その学校は3ヵ月おきにレベルが変わるのですが、今担当している生徒から「次のレベルの先生は誰ですか?」と聞かれたので、「次も私です。」と伝えたところ、物凄く喜んでくれて、「大好きです!」と言ってくれた生徒もいたのはとても嬉しかったです。
ベトナムとタイの違い
ベトナムとタイで日本語教師の違いなどはありますか?
ハノイに居た時は、これから日本に技能実習生として派遣されるベトナム人に日本語を教える『送り出し機関』で日本語教師として働いていて、現在はバンコクの日本語学校で教えているので、教える環境が違い、ザックリとした印象でしか比べられないのですが、今の職場の日本語教師の方が一定の基準を超えたコミュニケーション能力を持ち、しっかりしていて普段話していても、まじめな話も楽しい話も出来ているなという気がします。もちろん、ハノイにもそういう先生はいるのですが、現在ベトナムでは日本語教師が足りていないので、未経験の先生や、逆に高年齢の先生など、誰でも日本語教師として働ける環境の為、能力にバラつきがある気がします。
タイの方が、日本語教師の質を選抜されているということでしょうか?
そうだと思います。ベトナムの場合は、とにかく人手不足で、未経験でもかなりの好条件で働けるので、最初に働く国としてあまりハードルが高くはありません。タイの日本語教師の場合は、日本人に支払う最低賃金5万バーツ(≒145,510円2016年06月現在)を下回っても良いというルールがあり、2万5千バーツ(≒72,755円2016年06月現在)ほどの給料で働いている人も多いので、本当に仕事が好きで、タイが好きな人しか応募してこないので、一定の基準を超えた人しか応募してこない様です。
ベトナムとタイで生徒の印象に違いなどはありますか?
ベトナムの生徒は良い意味で『子供』で、直接的な表現をしてくるので、わかりやすかったです。ベトナム人は、とにかく競う事が大好きなので、ひらがなを書くのも2人で競わせたりしていました。ゲーム性を持たせた授業なども人気で、飴やチョコ1個などの景品でも目の色を変えて競い合って勉強していました。ただ、そういう子供っぽいところがある分、パーティーなどでは「先生をもてなす」というより、自分たちがやりたい事が優先で、それにのらないとガッカリされるという事がありました。
タイでは、授業にゲーム性を持たせても、大人の対応で、あまり食いつきは良くないです。大都会であるバンコクの学校であるというのもあるかもしれません。ただ、タイ人は親切で、コミュニケーション能力が高く、お話し出来たり、パーティーなどで一緒にお酒を飲んだりするのが楽しいです。タイ人の他人に共感する能力や、空気を読む能力は凄いです。
夫婦での海外生活について
日本語教師は、単身で働きにくる人がほとんどですが、夫婦で来てみてどうですか?
夫婦で来て良かったです!家に帰ると授業の成果を発表出来る妻が居てくれるので、嬉しい事も悔しい事も共感してもらえます。1人では乗り越えられなかった事もあったと思います。また、妻は日本語教師ではないので、素人目線での意見をもらえるのが助かっています。
日本語教師の給料で、夫婦2人の生活はどうですか?
行く国にもよると思います。ベトナムでは、余裕があり、日本に居た時より貯金が出来ました。今は正直、生活は楽ではないです。ただ、自分の頑張り次第で昇給もあるので、生活が楽になるよう仕事を頑張っています。もし、悩んでいる人がいるなら、一緒に来た方が絶対に楽しいです。
日本語教師としての色々なお話を聞くことが出来ました!ヅーさんお忙しい中、お時間を頂きありがとうございました!
衣さんブログ:ベトナムからタイへ KOROMOの日誌