「日本人にとっての敬語とは何なのか?」アンケートしてみました

今回は、日本語話者の方に向けて「日本人にとっての敬語とは何なのか?」というアンケートの結果を共有していきたいと思います。

何故このようなアンケートを行ったかと言いますと、有志の日本語勉強会をしている日本語話者のベトナム人の友人が、勉強会に参加している別のベトナム人から「わざわざ敬語を使う必要はないのでは? 日本人が理解できるように話すだけで良いのでは(つまり伝わればタメ口でも良い)」という意見が出た事が始まりで、友人から「本当にそうなのか?」と相談をもらい、日本人にとって敬語表現はどういう存在なのかセミナーをする事になったので、私1人の意見だけではなく色々な人に聞いてみようと思い、アンケートをとりました。

最初は、数人回答してくれたら良いなぁーという軽い気持ちだったのですが、最終的には56人もの方にアンケートにお答えいただきました!

当初は、アンケートの結果はセミナーに使うだけにしようと考えていたのですが、「結果を見たい!」というご意見をいただいたので、感謝の気持ちも込めてアンケートの結果を一部共有することにしました。

アンケート結果の共有①

1つ目の質問は、以下の通りです。

あなたは、とある開発を外部企業に依頼しました。
契約完了後、やり取りをすることになった窓口担当者(自分より年下の社員)と初めて打ち合わせをしたのですが、最初から最後までずっとタメ口で話をされました。
あなたは、どんな気分になりますか?

こちらに対して、以下の通り回答をいただきました!

67.9%もの人が
「この会社に仕事を依頼して大丈夫なのかと不安になる」を選び、
21.4%の人が
「この会社、部下の指導はどうなってるんだ!?と憤る」
を選びました。

つまり、ほとんどの人がビジネスの場で、敬語を使わないことに対しては、ネガティブに感じている事がわかりました。

その他の意見

以下は、少数派(回答者1人ずつ)の意見です。

<ネガティブな意見>

  • 会社もそうだが、個人に対して違和感を覚える
  • 馴れ馴れしいなぁと思う。

<その他>

  • なんとも思わない
  • 自分もタメ口で話そうと思う
  • 内容が伴っていれば「上からだな」とはならず気にならない
  • 何か理由があるはず、と探る

敬語を使わないことによるポジティブな意見は出ませんでした。

アンケート結果の共有②

2つ目の質問は、内容変わらずただ「日本語を話す外国人」だった場合、どう気持ちが変化するか聞いてみました。

あなたは、とある開発を外部企業に依頼しました。
契約完了後、やり取りをすることになった窓口担当者(自分より年下の社員)と初めて打ち合わせをしたのですが、最初から最後までずっとタメ口で話をされました。
上記、年下の社員が日本人ではなく「日本語を話す外国人」だった場合はどうですか?

結果は、以下の通りです。

30.4% もっと日本の文化を学べよと思う(ー)
17.9% 日本語上手だなと感心する(+)
16.1% この会社に仕事を依頼して大丈夫なのかと不安になる(ー)
10.7% なんとも思わない(その他)

だいぶ意見が変わりましたね! ただ、それでも46.5%の人が、外国人であっても敬語を使わないことをネガティブに感じているということがわかったのは、大きな発見でした!

仕事となると「日本語上手だね!」ではすまないようです。

その他の意見

以下は、少数派(回答者1人ずつ)の意見です。

  • 所々タメ口なる部分は出ても仕方ないかなとは思いますが、丁寧な言葉遣いをしようとする気持ちが一切見られないと日本語を必要とする仕事に何故就いたのか疑問に感じる。
  • もったいないな、と思う。それだけ日本語を話せるなら敬語も使えた方が絶対に仕事で得をするのに、と。
  • 仕方ないと大目にみるが、敬語を多少なりとも使おうとしているかで印象がかわる。
  • 嫌な印象は持たないけれど、敬語を教えてもらってないことを可哀想に感じます。
  • 不快な気持ちにはならないが、丁寧語程度でも使っていたらさらに好感を持つ

敬語がうまく使えなくても、使おうと努力する姿勢が見えることで、好感度が上がることがわかりました。

日本人にとって、敬語を話すという事にどんな意味があるのか?

最後に「日本人にとっての敬語の意味」についても聞いてみました。
結果は、以下の通りです。
69.8%の人達が、敬語を「相手への敬意、相手の尊重、配慮」つまり「相手を大切に思っていますよ」という気持ちで使っていることがわかりました。
日本人にとって、敬語は義務ではなく「思いやり」なんですね!

その他の意見をご紹介

最後の質問は、記述式にしたので、たくさんのメッセージをいただいたので、ご紹介します。
たくさんのご意見をいただいたので、一部しか紹介できずすみません。

自分から見た相手の立場や価値観を尊敬していることを表す一つの手段ですかね?
あくまで手段の一つなので信頼関係が築けていたり相手のことを理解していれば必要ないと思います。

相手への敬意、打ち合わせでいえば、相手の時間をいただくことへの感謝、敬意を表すために敬語は大切だと思います。敬語がいらないのは友だちや家族同士、それ以外の人とは一定の距離を保ちながら接する、その距離感において敬語は大切です。パーソナルスペースが広い日本人ですから、いきなりタメ口を使われると、いやこちらはそんな距離感で話したくないです、と思い不信感です。

日本文化環境で育った人では、コミニュケーション能力を測り、そうでない文化で育った人では、日本の文化をどれくらい理解しているのかを測る尺度の一つ。

マナーとはルールではなくて相手を思いやる気持ちのこと。英語のように同じ言葉でも話し方でそのシチュエーションごとに意味が変わるのではなく、どんな話し下手な人でも、相手を大切に思う気持ちが敬語を使うだけで、伝えられる。便利なツールだと思う。

相手を尊敬するという気持ちもありますが、もっと単純に、相手の事を考えて丁寧に話すという意味がありますので、年下でも、初対面やお仕事の場では敬語や丁寧語で話します。私にとって、敬語は、上下を表すものでは無く、相手を大切に思っているという意味があります。

相手との距離を一定に保つ、仕事の上では、プロとしての仕事をするために友達のように近くなりすぎないための距離
年配の人に対しては、相手が過ごしてきた時間に対して敬う気持ちを表す距離

1.社会的なけじめ、2.相手へ敬意もしくは関係の深さを表すため、二つの意味があると思います。

「社会的なけじめ」
これは日本の文化が関わっていると思います。身分制度や儒教の教えによって上下関係をハッキリさせる文化があるのだと思います。目上の人、立場が上の人に対して自分の方が立場が弱いことを示すために使うのだと思います。ただ、近年はこの考えは、日本人の中でも非常に薄くなっていると思います。

「相手への敬意」
文字通り、相手への敬意を表するために敬語を使う、という意味があると思います。コミュニケーションツールとしての言葉を敬語ならすることで「私はあなたを敬っている」とアピールしているのだと思います。
また、立場が同じ相手にも敢えて敬語を使うことで、親密度が高くないことを遠回しに表現していることもあると思います。

日本語でタメ口を話すことは、スラング混じりの英語で話すことと同じ印象があります。英語圏でもさすがにそのような英語でビジネスをしないことと同様に、日本語の敬語はビジネスシーンにおいて重要だと思います。完璧な敬語を話す必要ないけれど、ですます調で話した方がいいと思います。

日本文化を背景に持つ人に対する尊重
(距離感が近ければ、尊重の有無に関わらず、使わないケースもあります。
また、相手の日本語の理解度により、簡略化のために省くこともあります。幼児、高齢者、日本語を母語としない人など)

私はそれほどため口を使われることに抵抗はないが、そうでない人もいる。服装と同じで、不快感を与え、失う信頼や顧客があるかもしれない以上、使うに越したことはない。
敬語を使うことで失う信頼というのは考えにくいので。

人間関係、特にビジネスシーンの入り口として必須。外国人であるなら、過剰な敬語は不要だと思うが、せめて「です•ます」とタメグチの使い分け程度はできてほしいとは思う。日本語能力によっては、敬語を求めるのが酷な場合も当然あるが、ビジネスにおいては、最低限「敬語、或いは、丁寧に話そうとする努力」が見えるのが望ましいとは思う。ビジネスの外で、且つ、外国人であれば、年齢や相手との関係性によってだが、敬語の必要性はあまり感じない。日本人であれば、ビジネスの内外に関わらず、使い分けはマナーだと感じる。

敬語は「敬う言葉」です。日本人はまだ親しくない相手や仕事上の相手を敬うために、敬語を必ず使います。日本語学校では敬語を最初に習います。それくらい、日本人にとって大切な言葉です。

日本語話者のベトナム人達へのセミナーを終えて

上記で紹介した内容の他にも様々な熱いメッセージをいただき、それらも加えて2度に渡り日本語話者のベトナム人達に向けて「日本人にとっての敬語とは?」というセミナーを行いました。

56名もの方がアンケートに答えてくださった事にみんなとても感激していました。ありがとうございました!

印象的だったのは、参加者の中にはクライアントであっても仲良くなるにつれて敬語からタメ口にしても良い、と思っている人や、クライアントがタメ口を話していたら、自分もタメ口で話して良いと思っている人がいた事でした。

確かに関係性によっては、仲良くなるにつれて敬語からタメ口にしていくのもありな気もしますが、クライアントの場合は、どうかなぁー…と思いました。皆さんは、どう思いますか?

また、敬語を使っている限りは、本当に仲良くなっているわけではない、と考えている人もいて「敬語を使い合っていても仲が良い友人もはいる」と私は思っているので、そこも捉え方に違いがあるかなと感じました。

あと難しいなと感じたのが、話し相手が年上だったり、クライアントだったりした場合、相手はタメ口、こちらは敬語という場面が出てくることで、相手がタメ口だから、こちらもタメ口を使って良いというわけではないですし、相手がタメ口だから「仲良し」というわけでもないところがまた難易度高いなと感じた次第でした。

最後に

普段、当たり前に使っていて何とも思っていなかった「敬語」について改めて考える機会が出来て、日本人の私にとっても大きな学びとなりました。

多くの方が、敬語を「相手への敬意、相手の尊重、配慮」つまり「相手を大切に思っていますよ」という気持ちで使っている事を知り、素敵な言葉をネイティブとして使えているのだなと誇らしい気持ちになりました。

以上、ご協力いただいた皆様本当にありがとうございました!



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ABOUTこの記事をかいた人

宮城県仙台市出身。2013年6月からベトナム・ハノイ在住。 ベトナム在住そして、独身女性だからこそ書ける記事を提供できるよう日々奔走中。自称ハノイ美容マニア。趣味である各国の「民族衣装」撮影時にベストなコンディションで臨めるよう、日々新しい美容方法を試している。 本人はしっかりしているつもりなのに、度々変な事に巻き込まれる。地元の後輩からは『生きるコントby大宮エリー』と言われている。